
ブラットピット、モーガンフリーマンのW主演で最高のドンデン返し映画として名作。SEVENのあらすじから考察まで記載しています。
登場人物・相関図
<メインキャスト>
デビット・ミルズ(ブラットピット)
サマニット(モーガンフリーマン)
ジョン(ケヴィンスペイシー)
トレーシー(グウィネス・パルトロー)
分署長(リーアーメイ)
相関図

あらすじ
一週間後に引退を控えたベテラン刑事サマニット(モーガン・フリーマン)は、新米刑事ミルズ(ブラット・ピット)と共に殺人事件を担当することとなる。一人目の被害者はスパゲッティに顔を45分埋めたままで内臓破裂によって亡くなっていた。そんな異様な事件の次の日、弁護士事務所にてとある弁護士が殺害されているのが発見される。床には「GREED」の血文字が記されていた。そして、一人目の被害者の現場で脂で「GLUTTONY」と記されているのが発見され、ただの殺人事件ではなく『七つの大罪』をもとにこれから事件が続くことにサマニットは気づく、、。
ストーリー(ネタバレあり)
これはサマニットが引退するまでの7日間の物語。
- MONDAY
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一週間後に引退を控えたサマニットのもとに、新米刑事のミルズが現れる。サマニットは「7日間は大人しく見てるだけでいい」と今まで事件が頻発していたこの地でのこれまでの刑事人生を、静かに終わらせようとしていた。一方、ミルズは妻の反対を押し切ってこの地に引っ越してきており気合い十分、熱く意欲的なミルズはサマニットに煙たがれる。
そんな中1件の事件が発生、現場に向かうと大巨漢の男がスパゲッティを口に詰め込められ、死んでいるのが発見された。「殺しか?」「さあな」と会話をする二人だが、男の四肢が縛られていることに気づき、殺害されたのだと気づく。床にはバケツが置いてあり、そこには吐瀉物があった。鑑識の結果、スパゲッティに顔を埋めた状態で45分いたことが判明していた。
さらに詳しく解剖された結果、以下の点が判明した。
①死後時間が経っており毒殺ではないこと
②十二指腸に膨張の跡があり胃の内壁が裂けていたこと
③破けるほどではなく内出血が著しいこと
④額に拳銃を当てられていた跡があること
上記の点から、おそらく被害者は何者かに拳銃を額に当てられながら12時間以上もバケツを床に置いて永遠と食べさせられており、犯人に蹴られ内臓破裂で死亡していることが推測された。レシートが2枚現場にあり、犯人は買い物に2回行っている。ただならぬ異様な事件にサマニットは分署長に「定年前の仕事じゃない。これは続く」と訴えるが、「定年までまだ6日ある」と宥められてしまう。また、サマニットはミルズに対しても「彼は初めての仕事だ。まだ無理だ」と案ずる。
- THUESDAY
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とある弁護士事務所でグールド弁護士が殺害されているのが発見される。床には「GREED」の血文字。現場にあった妻の写真には、血で眼鏡が描かれていた。
分署長は改めてサマニットに事件を担当するようにお願いをする。その時、昨日の被害者である肥満男の胃の中にあったプラスチックを渡され、サマニットは興味を示す。
その証拠品をもち現場に戻ったサマニットは、床に何かを引きずったような跡があるのに気づく。その近くにあったのは冷蔵庫。引きづられた跡に証拠品がピッタリハマることがわかり冷蔵庫をずらすと、壁に脂で「GLUTTONY」と書かれた文字と共にメモを見つける。メモには「地獄より光に至る道は長く険しい」と、ミルトンの失楽園という本のワンフレーズが書かれていた。
この二つの事件は『7つの大罪』をもとに行われており、これが始まりであることにサマニットは気づく。
サマニットは図書館へ行き、7つの大罪に関連する文書を調べ始める。ダンテ「神曲」には、「自分の肉を切る」という場面がある。今日発見されたグールド弁護士は、きっかり1ポンド分自分で腹の肉を切らされた状態で発見されていた。
サマニットは、ミルズに「神曲」と「カンタベリー物語」を読むように手紙を残す。
- WEDNESDAY
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ミルズはサマニットのアドバイス通り神曲を読んでいるが、「このカマ詩人め!」と本を投げ捨てる。
職場に着くとサマニットがデスク移動をしており、ミルズが戸惑いながらメインデスクについた。その時デスクの電話が鳴る。ミルズが出ると、相手は妻トレーシーだった。トレーシーはサマニットと話したいと訴え、サマニットに代わり、要件を聞くと今夜の夕食に招かれたとのことだった。
ミルズの家には、美しい妻、そして犬が三匹。しかし家は地下鉄の影響で頻繁に大地震のように揺れる家だった。
ミルズとサマニットは事件の写真を見返す。グルードの死体は右手だけ縛られず肉包丁を持たされている。「1ポンドキッカリの肉を。骨も軟骨もない肉だけ、、」「ベニスの商人だ」とサマニットは呟く。
7つの大罪は中世の説教で使われた。殺しで犯人は痛悔(つうかい)を強いている。弁護士の妻は事件当時不在だった。二人は写真に血で眼鏡が描かれていたのは、何かをみた、もしくは何かを見るはずだという意味ではないかと推測し、妻に現場の写真を見てもらい何か異変がないか聞く。最初は取り乱す妻であったが、大きな絵画の写真を見て上下が逆であることに気づく。
現場に戻り二人は絵画の周囲を捜索。すると、絵画の裏の壁に指紋で「HELP ME」と書かれているのを発見する。しかし、指紋も指の形もグルードのものではなかった。
- THURSDAY
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二人が署で寝落ちていると犯人が浮上している。名前はビクター、本名はアラン。長い間精神病で苦しんでいる厳格な南部パプティズムで育った男であり、麻薬や少女暴行で服役経験があったが、弁護士の口添えで短期間の服役となっていた。その担当弁護士がグルートだったのだ。
ビクターの元へと向かう道中、ミルズは初めての逮捕の時のことを思い出していた。当時は新人で、部屋に踏み込むと犯人が銃を乱射して仲間の警察が撃たれたのだった。しかし、ミルズは「くそ、奴の名前を忘れた、、」と思い出せずにいた。
ビクターの家に着くと、ベッドに毛布を被った人が横たわっている。声をかけるも反応がないため毛布を捲ると、そこにはミイラのような男がいた。現場には「SLOTH」の文字が残されており、髪の毛や便、小便、爪のサンプルに一年前からの監禁の様子の写真が残されていた。横たわっているミイラは死んでいると思われたが、近づくと急に声をあげ生きてることが発覚、救急車で運ばれた。ミイラ男はビクターだった。ビクターには多種多様の薬剤が投与されており、床ずれ予防の抗生物質まで投与されていた。脳は軟化して舌は噛み切っていた。
そして、トレーシーからサマニットにこの街で話せるのはサマニットだけ、と話したいことがあると電話がかかってくる。
- FRIDAY
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ダイナーで食事をするトレーシーとサマニット。トレーシーはこの街が大嫌いだと話すが、サマニットが「本当に言いたいことは違うだろ」というとトレーシーはミルズとの子を妊娠したことを告げる。トレーシーは産みたい、と言いながら浮かない表情。サマニットも若い頃パートナーが妊娠したことがあったが、こんな酷い世の中に生まれてくるのか、と考えパートナーに中絶を頼んでいた。サマニットは、「あの決断は間違っていなかったけど、違う決断をしていればと思わない日はない」と話しトレーシーは涙する。
ビクターの家賃は毎月大家の郵便受けに置かれていた。306号室の住人はいっさい不満も言わず彼への苦情もなく理想的な住人だったと話す。静かなのは、舌を噛み切っていたからであるが、、。
犯人はビクターを一年前から監禁していることからも入念で綿密で何より我慢強いことが推測された。ミルズとサマニットはとあるダイナーに横並びに座る。「反対側に行けよ」とミルズは嫌がるが、反対側の席に一人の男が座った。サマニットは机の下で男に大金を渡し、男は「あんたの頼みだからやるんだからな」と去っていく。男はFBIで図書の貸し出しをチェックしており、サマニットは七つの大罪に関する本を読んでいる人物を探すように依頼したのだった。
その後ジョンドゥという男の名が上がってきた。ジョンドゥが滞在しているホテルの一室に着くと、廊下の端から誰かが近づいてくるのが見えた。サマニットがミルズに声をかけた途端、男は二人に向かって発砲し逃走する。二人は追いかけるも、男の方が一枚上手でありミルズは拳銃を額に当てられ危機一髪の状況となるが、男は発砲せずに去ったのであった。
ホテルを捜索すると、ベッドの下に資金は見つかるも指紋検出はなし。そしてビクターの手のホリマリン漬けと、「我々はなんとくだらない操り人形だ。世を気にせず己を知らず性に興ずる楽しさよ道を外した我ら」という文章。ホテルの客室内に電話音が鳴り響き、ミルズが出るとそれはジョンドゥからの電話だった。「感心した。よく見つけたな。今日の一件で今後の予定を変えることになった。もっと話したいが楽しみはとっておく」といい、電話は切れる。
- SATURDAY
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ジョンドゥのホテルの部屋にあったレシートのワイルドビル皮革店にいくと、ジョンドゥは昨日来たと店員が話す。ここは特殊な器具を作る店だった。店員に話を聞いている途中で「金髪が見つかった」と連絡が入る。風俗店に入ると、部屋のドアには「LUST」の文字。部屋には血だらけの女のしたいと、「これを外してくれ!」と発狂している男がいた。事情聴取すると、男は「独身かと俺に聞いて、喉に拳銃を突き立ててきた。女とヤれと」と、ワイルドビル皮革店で購入した男性器に装着し先端に刃物がついた器具で性行為をすることを強要したようであった。
バーでミルズとサマセットは話している。サマセットは「人々は英雄なんか求めていない。平凡を求めている。無関心が美徳はうんざり。愛は努力がいる」と話す。ミルズは、それに対し「同意できない。自分が世を変える」とバーを後にするのだった。
- SUNDAY
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「またやったぞ」とジョンドゥから警察に電話が入る。警察が到着した現場には「PRIDE」と書かれており、美人モデルが死んでいた。モデルの左手には睡眠薬、右手には電話を糊付けされており、鼻を削がれていたり顔面は包帯で覆われていた。助けを呼べば醜い顔で生きることができ、嫌なら自殺しろと選択させられたようだった。サマセットはミルズに「もう少し捜査をしたい、結末は二つだ。奴を逮捕するか奴が7人まで殺し続けるか」と伝える。ミルズは「俺の心配はいい。」と答えるが、「もう数日相棒でいたい。私の頼みだ」と言う。
ジョンドゥはなんと署に自主しにきた。返り血のついたワイシャツ姿で。ジョンドゥは指の指紋をだいぶ前にそいでいたために現場から指紋が検出されなかったのであった。ジョンドゥは金があり、教育もあり完全な異常者だった。ジョンドゥという名前も偽名である。ジョンドゥは何か隠していると二人は疑う。
ジョンドゥの弁護士は「依頼人は後二人死体を隠しているそうだ。ミルズとサマセットだけを今日6時に現場に案内すると。尊敬していると。二人が断れば死体は永遠に見つからず、精神病を主張する」と交渉される。ジョンドゥの爪から、自身の血、モデルの血のほかにもう一人別人の血が検出されており、もう一人殺害されている可能性が高いことから二人はこの事件を終わらせるためにジョンドゥのいうとおりに現場に同行することを承諾する。
上空にはヘリが待機している。ジョンドゥは「私が誰かは問題ではない。私は特別ではない。だが私のしていることは特別だ。心配ない。君(ミルズ)は見逃さないよ。絶対に」「だが問題はもっと普通にある人々の罪だ。我々はそれを許してる。だがもう許されぬ。私が見せしめをした。私のしたことを人々は考えそれを学びそして従う。君は感謝しろ。この後人々の記憶に残る。私が今ここにいるのは私が望んだからだ。」ジョンドゥの言葉にミルズは冷静に返答するが、「鏡を見るたびに私を思い出せ」などと煽るような発言を繰り返すジョンドゥに対してどんどん感情を露わにしていく。そしてジョンドゥはそんなミルズに微笑む。三人の会話は高圧線の影響で通信が途切れる。ジョンドゥは時間を尋ね「7時1分」とサマセットが答えると「そろそろだな」と呟いたのと同時にバンが一台やってくる。サマセットはバンに近づき、バンに乗っていた男の正体を聞く。男は運送屋であり、ミルズ宛に7時きっかりに一つの段ボールを届けるように頼まれたと言いサマセットは段ボールを受け取る。中身を確認し、サマセットは言葉を失う。
荷物を受け取ったのをやや離れた場所で確認したミルズ。ジョンドゥはミルズに対して「君を褒めてるんだ。可愛い女房も。、、、トレーシー」と話し、トレーシーの名が出たことにミルズは動揺する。「今朝君の出た後家にお邪魔した。平凡な夫の楽しみを味わいたくてな。」ジョンドゥに対して銃を構えているミルズに対してサマセットは「銃を捨てろ」と走り寄る。「(トレーシーが)逆らいおった。そこで土産を持ってきた。女房の首だ。君の平凡な暮らしを妬んだ私も罪人だ。」ジョンドゥの言葉を受け、ミルズは箱の中身はなんだと取り乱す。サマセットは「奴はお前に撃たせたいんだ。怒りの罪だ。殺せばお前の負けだぞ。」と説得するも、その言葉でジョンドゥの言う通り箱の中身は本当にトレーシーの生首なのだと確信してしまう。「女房は命乞いした。子を孕んでいると」その言葉が出てサマセットはジョンドゥを殴る。妊娠していることはミルズはまだ知らなかった。「知らなかったのか」と笑うジョンドゥを、ついにミルズは撃ち殺してしまう。
ヘミングウェイが書いてた「この世は素晴らしい戦う価値がある」
サマセットは後の部分は賛成だ、といい、映画は幕を閉じる。
考察・感想
今作は、サマセットが引退するまでの7日間、7つの大罪、そしてその7つの大罪が完成してしまう時刻7時(荷物が7時に届いている)とさまざまな7が組み込まれている、まさにタイトルである「SE7EN」をメインに話が進んでいく。
①傲慢(PRIDE)
②強欲(GREED)
③嫉妬(ENVY)
④憤怒(WRATH)
⑤色欲(LUST)
⑥暴食(GLUTTONY)
⑦怠惰(SLOTH)
これはカトリック協会のカテキズムに掲載されている順番であり、今作では暴食、強欲、怠惰、色欲、傲慢、嫉妬、憤怒の順に事件は発生しています。順番について何か意図があるかは不明ですが、最後にミルズが憤怒になっているのは私は以下のように推測します。憤怒の悪魔はサタンであり、サタンは神に使える天使でしたが神に反逆し堕天使となり、悪魔となってしまっているのです。ミルズも、元々は情熱的な刑事で妻を愛する人間でしたが、ジョンドゥと敵対したことにより妻は殺され、そして憤怒の罪を犯し罪人となってしまいます。ジョンドゥは非常に賢く、お金もあり、また片足が不自由でありながらもミルズとサマセットの追撃から逃げ切っているところから考えると運動能力が優れていることも考えられます。そのように非の打ちどころのなかったジョンドゥは、いつしか他の人間を対等な位置で考えることはなくなった可能性があります。また、ミルズの平凡な幸せを妬んでしまったことを罪だと言っており、トレーシーを殺害したことは罪と考えていないことから自身のことを神のように考えているのではないでしょうか。
本作ではミルズとサタンの関係性のように、さまざまな対比が使われています。
例えば、ジョンドゥは「君は見逃さないよ、絶対に」「鏡を見るたびに私を思い出せ」とミルズに向かって発言しています。実際にラストのシーンでは愛する妻が殺され、その犯人をミルズが撃ち殺してしまいます。おそらくミルズは殺人を犯してしまったため復職は難しいでしょう。最初の事件では仲間の名前を思い出せませんが、最後の事件ではトレーシーも、ジョンドゥのことも忘れたくても絶対に忘れられないほど焼き付いてしまったのです。
メインであるサマニットとミルズの性格も対照的ですね。冷静沈着なサマニット、情熱的で猪突猛進なミルズ。しかし、ミルズはサマニットと過ごす中で車中でジョンドゥに煽られてもすぐに感情的にならなかったりと変わりつつありました。それでも、「人々は英雄を求めていない。平凡を求めている」と考えるサマニットと、「自分が世を変える」といったミルズの情熱の強さの差が出てしまったのではないでしょうか。
ラストの「この世は素晴らしい戦う価値がある」に、後の部分は賛成だ、といったサマニット。私は、月曜日の時点のサマニットなら全文同意していないと思います。先ほどでもあったように、サマニットは平凡を求め、静かにこの7日間を過ごすことを望んでいました。そのサマニットが、「戦う価値がある」という情熱的で意欲的な部分に賛成しているのは、サマニットにミルズが影響されたようにまた、サマニットもミルズに影響を受けたのだと思います。
考察は以上になります。さすがデヴィットフィンチャー監督!!!数年前に本作を見て、再びこの記事を書くにあたり見返しましたが、内容を知っていてもハラハラし考察が止まりませんでした(7つの大罪やキリスト教について調べちゃったり)。メインキャストであるブラットピットとモーガンフリーマン、ケヴィンスペイシーの演技力も圧巻です。
この記事を読んだ後でも、また新しい発見や面白みがあるのではないでしょうか。
ではまた次の記事でお会いしましょう!